各都道府県にある労働局や労働基準監督署(以下労基署)では何ができるか、何をしてもらえるのかについて知っておくと組合活動を進めるうえで有効に活用できる局面が見つけられる場合があると思われます。厚労省のサイトやリーフレットから確認できることをいくつか検証していきます。
一般の労働者が相談したり、指導を求めたりすることのできるのは労働局や労基署です。
そのうち労働局では主に雇用環境・均等部(いくつかの府県では部ではなく室になります。以下、雇均部)が窓口になり、主に男女雇用機会均等法(以下均等法)、育児介護休業法(以下育介法)、パートタイム・有期雇用労働法(以下パ有法)、労働施策推進法(以下労推法)等に関する法律を取り扱います。
その他、労働局には派遣労働者や事業主を指導監督する部署(需給調整部)もあります。各労基署を監督する部署も労働局にあります。
労基署では労働基準法(以下労基法)、労働安全衛生法(以下安衛法)に違反している事案を取り扱います。労働災害に関する窓口も労基署にあります。
大雑把に言って労基法や安衛法に違反する事案や事業主の取り締まりなどを労基署で取り扱い、労働局では先ほど述べたいくつかの法律に違反している事案、またはこれらに関するハラスメントなどの相談を取り扱います。
ただ、一般的には自分の遭遇しているトラブルなどがどこに関連するかわからないのが通常です。各労働局や労基署には「総合労働相談センター」という部署があり、ここで事案に基づいて取り扱い部署を振り分けることになります。
労働局の雇均部で取り扱う4つの法律への対応、およびハラスメント関連の対応はそれぞれ共通しているところがあり、順番に見ていきます。
均等法、育介法、パ有法に関しては法律で禁止されていることがあり、このことに対する苦情に対して次のことが定められています。
1.事業主はまずは自主的に解決するように努める。
2.都道府県労働局長が援助を求められた場合に当事者に対し、助言、指導、勧告をおこなう。
3.都道府県労働局長は当事者から調停の申請があったときは紛争調整委員会に調停を行わせる。
ハラスメントに関しては前の3つの法律に加えて労推法が登場します。パワハラ、セクハラ、マタハラなど何がハラスメントになるかはこの4つの法律に「定義」が書いてあります。
ただ、これらの行為が「法律で禁止」されているわけではなく、各事業主はこのようなハラスメントが起こらないような仕組みを作ってください。という回りくどい形になっています。
すなわち事業主に次の2点を義務化しています。
1.事業主はこれらのハラスメントによって労働者の就業環境が害されないように雇用管理上必要な措置をとる。(ハラスメントを起こさないという事業主の方針の明確化、相談体制の整備など)
2.労働者がこの相談を行った際に不利益な取り扱いをしてはならない。
そしてこの仕組みづくりをしっかりやらなかった場合や不利益な取り扱いをした場合に前の助言、指導、勧告、調停などの制度に基づいて解決を図るという形式になります。(パワハラについては現在は大企業のみの義務化であり、中小企業は2022年4月1日からが義務化となります)
次回以降はそれぞれの仕組みについて少し踏み込んで検討していきます。