最近、労働組合の結成やストライキが多発しているというニュースをよく耳にします。日本でもちらほらあるようですが、おおかたは海外からのニュースです。
6月の21日から3日間、イギリスで鉄道労働者が「過去30年で最大規模」のストライキに突入し、その少し前には韓国でトラック運転手がストライキを行いました。また、アメリカのアマゾンやアップルなどITの大手企業で労働組合が結成されたとのニュースもメディアで大きく取り上げられています。
一方日本では労働組合の組織率は戦後の1948年に55.8%となりこれがピークで、その後は減少傾向となり2000年ごろに20%を割り込んで以後、現在はどんどん15%に近づいています。またストライキはといえば半日以上のストライキは1974年には5,000件以上あったのが、2020年には35件となっています。(以上厚労省資料から)
この20年30年、欧米と比べて日本の賃金は下がる一方だとよく言われており、このニュースでもよく取り上げられています。日本の賃金が上がらない理由が様々なところであれこれ言われていることは承知の上であえて言えば、「労働組合がまともに闘わなかったからであること」が大きな理由のひとつであることは明白だと思うのです。
労働組合にはいろいろな活動目的があると思いますが、まずは「自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図る」(労働組合法第2条)ことが第一歩だと思うのです。法律でもこのような内容を書いてくれているのに組合はちゃんと仕事をしてこなかったということです。
2年前の新世紀ユニオン組合大会の活動方針にこんな文章があります。「かつては日本の働く世代の9割が中産階級と認識していたのが、今や労働者の3分の1が貯金のない貧困層となった。これに対し大企業の内部留保は約460兆円にも拡大した。」
最近の日本の労働組合の賃上げ要求がしょっちゅう満額で回答されているのは、そのくらいの要求しかしていないからで、その結果がこのような状況を生み出したといえばとてもすっきりします。まだまだいくらでも踏み込むことができたのです。
労働者の賃金は労働者と資本家の力関係で決まるものだと思います。本来労働者のほうに行くべきお金がそうはならなかった。その結果資本家のほうに460兆円が積みあがってしまった。ということになります。
春闘で毎回毎回あれやこれやの理由をつけられては「賃上げは無理」と言いくるめられ、アリバイ作りの要求をしてきた結果がこれだったのです。
460兆円の半分でも労働者が賃上げを勝ち取り、消費に回っていれば日本の経済状況は今とは全く違う景色となっていたはずです。
日本の労働組合が本当に賃上げできるようにするには、家畜のように飼いならされ、ストライキを打てなくなった労働組合を闘えるように改造しなければなりません。また、それとは別に闘うユニオンをしっかり育てていくという2つの労働運動の課題があると思っています。
これからの日本の労働運動が前進することを切に願っており、少しでも力になれたらと思っています。世界での労働組合結成やストライキ突入のニュースは力になります。日本でもこのような動きが出てこなければいけないと思うのです。