組合員の投稿

中華の名料理人・脇屋友詞氏の本を読んで

2024年1月24日

 脇屋友詞氏は世界的に有名な中華の料理人であり、今では大きな中華料理の店をいくつも経営している人である。私がこの本と出合ったのは、朝のワイドショーで紹介していたからである。

 脇屋氏は親父の命令で中学卒業後すぐ東京・赤坂の「山王飯店」の厨房で働き始めた。仲間みんなが高校に入学していた時に、彼は3年間中華鍋を洗い続けたのである。

 それから50年間、彼が世界一の料理人として、大きな成功を収めるまでの50年間を語り、それを本にしたのが「厨房の哲学者」(幻冬舎)と言う本である。本の内容は脇屋氏が語ったのを本にしているので読みやすい。

 彼は中華鍋を洗いながら、中国人の親方の料理を盗み見し、夜それをノートにメモとして書き留めながら、中華料理を学ぶ、朝誰もいない厨房でこっそり自分で店の食材で料理を作り、自分で食べて料理法を身に着けたのである。50年前の料理店の経営者は寛容だったというべきか、今やれば懲戒解雇にされるだろう。

 先輩から暴力を振るわれ、親父を恨みながら働いていた彼は、母親から「3年辛抱しなさい」と励まされながら辛抱していく。ある時仕事から逃避した先の土産物売り場で「この道より我を生かす道なし。この道を歩く」との言葉が書かれた額に目が留まる。

 「僕はその額を買い後生大事に抱えて東京に帰った」それ以後この武者小路実篤氏の、この言葉が彼の「座右の銘」となる。

 彼は語る。「心の中で何度もこの言葉を繰り返した。僕がわからなかったのは、このことだったのだと思った。何を選ぶかではない。重要なのは何かを選ぶことなのだ。」「あの日僕は自分の生きる道を見つけ、それからずっとその道を歩いてきた。今日までの50年間は、その選択が間違いでなかったことを確かめるためにあったと言ってもいい。」

 そこにあるのは哲学者と言うよりも、まじめな探求心にあふれた一途な職人の姿である。

 「厨房の哲学者」は、その50年間を振り返る彼の思い出である。本の初めには彼は親父を恨みに思いながら働く。しかし本の最後のページで、彼は親父に感謝している。

 私は、この本の著者脇屋氏の人生と、自分が「いかに生きるか」を考えながら、今の道にたどり着いたことと重ね合わせながら、「いかに生きるか」を探している若い人たちに、この本を読んでほしいと思ったのである。読んでほしいのであえて本の内容は書かなかった。
「厨房の哲学者」(幻冬舎)1500円+税

 


 

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