組合員の投稿

労働局・労基署でできること、できないこと(2)

2021年9月26日

 労働基準監督署(以下労基署)では労働基準法(以下労基法)、労働安全衛生法(以下安衛法)に違反している事案を取り扱います。また、労働者災害補償保険法(以下、労災法)で取り扱う労災の認定も行います。

 この労基署に置かれている窓口が「総合労働相談センター」であり、相談内容により、ここで事案に基づいて取り扱い部署を振り分けることになります。

 相談の中で労基法などの法違反があれば該当部署への取り次ぎも行います。例えば賃金未払いや解雇に関して解雇予告手当未払いなどの事案があれば労基署の監督官に引き継ぐことになります。

 また、「性差別がある」「育児休業を取らせない」など男女雇用機会均等法、育児介護休業法の違反が疑われる事案があれば都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に引き継ぐことになります。

 法違反の事案ではなく、民事的な要素を含んでいる事案については個紛法に基づいて情報提供、助言・指導、あっせんの委任などの方法で解決を援助することになります。必要であれば裁判所や他の行政官庁、弁護士会などを紹介することもあります。

 具体的には解雇、雇止め、配置転換、労働条件の不利益変更、いじめ・嫌がらせなどの職場環境、会社の器物破損への損害賠償など、労働関係のトラブルではあるが、現行の法律に違反しているとは言えない事案を取り扱います。

 「情報提供」は法規定、判例などの知識不足、誤解などによって生ずる労使紛争について、労使双方に不足している情報などを紹介することにより、紛争を未然に防止したり、自主的な解決を図ろうとするものです。

 「局長による助言及び指導」とは民事上の個別労働紛争について、局長が紛争当事者に対し、その問題点を指摘し、解決の方向を指し示すことにより紛争当事者の自主的な紛争解決を促進するという制度です。

 例えば、雇用契約書に職場限定の規定がある労働者に対して配転命令が出された場合に、労働者が助言・指導を求めた場合、労働局長の助言により、この点の指摘等がなされ、話し合いがもたれた結果、配転命令は撤回されるというようなものです。

 あっせんとは紛争当事者の間に「公平・中立」な第三者、紛争調整委員会が入ることにより、双方の主張を確認しつつ、双方から求められれば具体的なあっせん案を示し、紛争の解決を目指します。

 例えば、期間の定めのあるパート労働者が勤務態度や業務遂行能力を理由に雇止めされたが、納得できず撤回を求めたが拒否されたため、雇止めの撤回または撤回されない場合には経済的損失として150万円の補償金を求めるとしてあっせんを申請しました。

 この事案で、あっせん委員の調整により、事業主は雇止めは撤回はできないが紛争の早期解決を図る観点から一定の補償金を支払うとして、60万円の補償金を支払う旨のあっせん案を双方が合意し、紛争の解決がなされました。

 あっせん制度は厚労省によれば無料で迅速な解決が図れるとしていますが、あくまでも任意の制度であり、あっせんが申請されても他方の当事者があっせんに参加しないことも許されているという欠点もあります。

 最後にこの一連の制度の件数を簡単に見ておきます。全国の昨年度の相談件数は129万件、13年連続で100万件を超えており、助言・指導件数は9,000件余り、あっせんは4,000件余りとなっています。

 相談内容では「いじめ・嫌がらせ」が最も多くて約79,000件(22.8%)。その他、自己都合退職11.4%、解雇10.9%、労働条件の引き下げ9.3%と続いています。

 また、あっせんの約4,000件のうち、双方が参加してあっせんが開催された案件は48.4%、相手方が不参加の案件が42.2%、最終的に合意が成立した案件は1,400件弱で32.4%でした。(事例、数字は厚労省のパンフ及び「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」より)。

 


 

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