コロナウィルスが蔓延している状況下であらためてアベノミクスの失政が評価されうる。すなわち、日本経済の失速がコロナ禍の影響ではなく、アベノミクスに原因があったということである。
まず、ニュースを見ていると感じるのは、自営業者のもろさである。家賃や光熱費といった固定費を払えずに廃業している業者が多いということである。本来であれば、内部留保により多少の蓄えをしてこうした状況に対応できるはずであるが、高すぎる家賃のため自転車操業をしていたことが明るみになったということである。
つまり、アベノミクスは経済が回っている間はなんとかなっているが、一旦それが滞留すると化けの皮が剥がれてしまう程度の経済政策であった。確かに、経済におけるお金は、体内における血液だとみなす見方もあるかもしれない。血液が滞留すれば、様々な臓器が破綻してしまう可能性はあるだろう。
しかし、血液は絶えず循環していなければならないが、お金は貯めることができる点で大きな違いがあり、経営者は万が一に備えてある程度は蓄えておくべきであったはずだ。結局、蓄えができない経済状況、それがアベノミクスの正体であったと言える。
もともと経済成長2%という目標値が、異次元の経済政策ではなく、その程度のインフレが経済を正常に成長させるという経済学の常識に基づいていた。それを達成できないということ自体がアベノミクスの問題であった。
経済成長が停滞しているときに消費税を上げるという愚策を行ってしまった後で、コロナ禍で完全に経済が止まってしまったということでしかなく、コロナウィルスが流行しなくてもアベノミクスの失敗は見えていた。
アベノマスクもGoToキャンペーンも付け焼刃的な愚策でしかない。おそらくは癒着している企業に金を落とすための政策であったことは間違いないだろう。
例えば、アベノマスクに関してはどこの業者に発注したかすら公表されていない。しかし、おそらくは大手広告会社の子会社、あるいはダミー会社あたりが受注しているであろう。
それを日本郵便が発送することで、日本郵便が潤うという構図である。かんぽ生命が現在もまだ不正販売で事業が縮小してしまっている穴埋めとしてアベノマスク事業が展開されたことは想像に難くない。
GoToキャンペーンにしても観光業者や地方の観光業が潤うという説明であるが、結局は航空業界とJRに対する救済策であろう。
ナショナルフラッグを担っている航空会社の収入が減ることは避けたいし、JRにしても新型の新幹線を導入したり、国策としてリニアモーターカーの開発を続けている手前どうあっても収入源を抑えたいという思惑が入っていることは容易に想像できる。
結果的に、アベノミクスはお仲間の懐を暖めるための経済政策でしかないということである。これは、大手ゼネコンが復興事業を子会社に丸投げした結果、キックバックをもらっていたという構造も含めて言えることである。加計学園に獣医学部を新設したことなど、あくまでも私事でしかない。
決して庶民のための政策ではなかったということは明白である。
アベノミクスの正体見たり“枯れ尾花”ではなく、“枯れすすき”という方が正しいだろう。“枯れ尾花”とは“すすき”のことであるが、昔の流行歌に「昭和枯れすすき」という歌があった。
http://www.utamap.com/viewkasi.php?surl=31525
「昭和枯れすすき」ではなく「令和枯れすすき」になろうとしている現在の状況を作り出したのは間違いなくアベノミクスである。