組合員の投稿

 転職という選択肢   :未来に「希望」をもつことの効果  

2022年2月20日

 「オレ、やっぱ辞めるわ」「俺は辞めるのを止めた!」「私は辞めるのを辞めようと思ったけど、やっぱ辞めたわ」・・・「?」。
友達とみられる3人がそんなやりとりをするCMがある。転職サイトのCMだ。

 私も転職が決まった。今までもこれからも大学教員であり続けるので職種自体は変わらないが、新しい職場=大学へ移る。

 2年半前、現任校ではようやく勤務3年目に入った私に急な方針転換を一方的に告げ、「したがって、あなたはもうこの学部・学科には必要なくなる」と強引な配置換えを予告した。

 ようやく担当科目に慣れたところなのに、畑違いの学部・学科に配置換えをされたら、また新規科目の授業準備に膨大な労力・時間をとられることになる。

 私は新世紀ユニオンに加入してアドバイスを受けながら、「それは困る。応募要項と話が違う」として申し入れを行った。しかし交渉の余地は全くなし。そして、学長・学部長らから何かにつけて嫌がらせを受けるようになった。追い出しのハラスメントだ。

 辛かった。すぐに辞めたいとも思ったが、私には以前、長く勤めていた大学を衝動的に辞めてしまったことへの強い後悔があるので、今回は冷静かつ戦略的に、戦い方および身の振り方をよく考えながら動こうと思った。

 だが一方で、今の大学に長居すればするほど私の心身は蝕まれていくだろう。そのことも容易に想像できた。思考停止に陥る前にここを出た方がいい。

 まずは目標を今一度、明確にした。私の目標は「まともな大学で落ち着いて自分の仕事である教育研究活動を行なうこと」(考えてみたら至極シンプル)。そしてそのためには「まともな大学に移る」必要がある(現任校は無論、まともではない)。

 で、まともな大学に移るには、「それなりの研究業績(論文数)を上げ」ながら「自分の専門領域に適合したポスト(の空き)が出たときそれを掴む」ことである。

 現職前にブランクがある私にとっては特に「(新たなデータをとりながら)論文数を稼ぐこと」が必要だ。そしてしばらく公募サイトでポストの動きを観察・分析したり、自分でもアプライしてみたりした結果、私の場合は対象を広げた(データと)論文を何本か加える必要もあることがわかった。

 目標とそれを叶えるためにやるべきことが明らかになったのだから、あとはそれを最も効率的に実現すればいい。現任校でハラスメントに対する最低限の防戦を続け、配置換え等によるコスト増にも対応しながら目標に向かうのは、むしろ無謀だとあらためて気がついた。

 どんなに頑張ってもここで私が上げられる研究成果は年間1本弱が限度なのだから、目標はどんどん遠のいてしまう。

 それならば思い切って早く辞め、大学院生にでも戻って2、3年研究に没頭した方が目標実現に近づける。ただその間、生活の糧は得られない・・・。固定観念に縛られず、できるだけ多くの選択肢を射程に入れて出てきた答えは、「ひとまずこの最低の大学を出ること」(やっぱり超シンプル!)。

 今の大学で新しい授業を持たされるくらいなら、同じコストを別の大学のためにかけた方がずっと気分がいい。それに、ハラスメントによって嫌な思いをしたり、その防衛・反撃のために消耗したりするよりも、新しい環境になじもうと努力を傾ける方がずっと健全だろう。

 そしてその結果、少なくとも今までより研究成果をあげることができるはずだ。そのように考えて、特にこの1年超、本気の就活を行なったところ、冒頭のとおり転職が決まった。

 それは「任期付き」ではあるが「持ちコマ数が現在の半分」という、今の私にとっては理想的とも言える(少し珍しい)ポストである。負担が半分なので給料も今の半分程度になるかと覚悟していたのだが、幸いその予想は良い意味で裏切られた。私は新天地で2、3年、集中的に研究業績を上げるつもりでいる。

 どこへ行ってもそれなりに問題はあるだろう。もちろん今の場所で耐えるべきときだって。しかし、実は意外に多くの選択肢が誰の目の前にも横たわっているのではないだろうか?

 ハラスメント被害の渦中にあると自尊心を傷つけられて、自分なんかダメだ、もっとがんばらないと、などと自分でも自分を追い込んでしまう。そして視野狭窄や思考停止に陥ってしまいやすい。

 私は今回、現在のパーマネントから任期付きポストへの転職を決めたわけだが、何も知らない他人からは何と愚かな!とかよく考えもせず!と思われることもあるだろう。

 が、実際には、「辞めようかな」「やっぱり辞めるの止めようかな」・・・と、むしろ冷静な計算と行動を重ねてたどり着いた結果である。そして、たとえ私が現職に留まることを選んでいたとしても、あれこれ転職について考えてみたこと自体は大正解だったと思えるだろう。

 結論はどうあれ、未来の自分を想像する過程が本当に楽しかったから。いつの間にか元気になって、毎日の生活に張りが出た。未来に「希望」を持つことの効果は大きい。何歳になっても大事なんだと気づいた。

 この経験談が他の誰かの「希望」にもつながれば嬉しい

 


 

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