私は、今の仕事に将来性を感じず、長時間労働なのに給料が減るなど定年まで働き続けることができなくなりました。ところが、現在の職業ではどの業界へ就職するだけのスキルが身につきません。そこで、リスキリングやリカレント教育が必要となります。確かに職業訓練はあるのですが、それでは退職前より給料が下がる仕事しかつけません。
そこで、新しいタイプの通信制大学の大学案内を2カ所取り寄せました。ソフトバンク系のサイバー大学とドワンゴ系のZEN大学です。
さて、その2つの大学の共通点は、インターネットにつながれば日本中どこでも授業が受けられるフルオンライン大学です。従来の通信制大学と違って、ビデオ会議が動作可能なパソコン、スマホ、タブレット端末が教室そのものです。
また、放送大学と違って、時間を問わないオンデマンド講義です。スクーリングはございません。最大のメリットは入学試験たる学力検査がないことです。それは、どこでもいいから高校を卒業さえしていれば、誰でも入学ができます。ただし他大学在学中は二重学籍が禁止されています。
反対に2つの大学の相違点は、それぞれの親会社の意向が現れていて、共にAIを含むIT技術をコアとしながらも、サイバー大学はビジネス系、ZEN大学はクリエイティブ系です。また、授業料はサイバー大学が1単位2万2千円の4年間卒業まで約270万円強です。
ZEN大学は年間38万円で、4年間卒業まで152万円です。それだけ見ればサイバー大学が高いかもしれませんが、国公立を含む一般的な大学よりは安いです。募集定員はサイバー大学は正課生1年次入学で800人、ZEN大学が初年度定員が5千人です。ZEN大学の定員が多いのは、入試制度がないからではなく、国からの補助金をもらわない私立大学だからです。
サイバー大学とZEN大学の共通するデメリットと注意点は2つで、学歴が評価されないことと卒業が難しいことです。学歴が評価されないのは、大学での教育内容ではなく入試の偏差値によるものです。要するに、大学名イコール高校卒業するまでの評価です。
それを打破するために両大学がどう発展するかにかかっています。次に卒業が難しいのは私大医学部と同じく学費稼ぎが理由かもしれません。もっとも、医学部の場合は卒業後に医師国家試験を受験するので、国試に合格する学力がなければ進級も卒業もできないでしょう。
両大学の場合は、入試なしで社会人にも門戸を広げる代わりに、即戦力を身につけるため卒業が難しくなっています。大学に入ったら遊べるといった常識は通用しません。
それでもそれらの大学で勉強したいのなら、大卒者は学士編入制度を利用してみてください。2年で卒業できます。また、その分学費が安くなります。めでたく卒業したときは、履歴書に記載できる本物の大卒として再就職したり大学院進学したり医学部の学士編入試験が受けられるなどのメリットがあります。
医学部の学士編入試験は一般入試よりも難しくなりますが、複数の低学費たる国立大学入試が受けられます。これからは学校教育制度も自分自身も変わっていかなければなりません。