憲法28条は労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権を保証し、それを担保するために労働組合法は第1条2項で刑事責任の免除を、第7条では不当労働行為を禁止し、第8条では民事責任の免除を定めている。
これに基づく争議宣伝は、その内容が事実に基づく場合にのみ免責されるが、争議権を要求を通すための「合法的な嫌がらせ」と称し、まるで労組に無条件に認められた権利であるかと考えているようなユニオンがいる。週刊新潮にも掲載された東京の一例を紹介する。
●腰を痛め労災で出勤できなくなったとして欠勤していた労働者が、腰痛で出勤できないはずなのに他社に就職し、二重就労していたことが会社の調査によって判明した。労災補償、または傷病手当を受給しながら実際は他社で働き、身は一つしかないのに二重に所得を得ようとした事になる。
●解雇され東京地裁・高裁でも解雇は有効と認められた後、労働弁護団所属の弁護士がユニオンを紹介、その執行委員長は「まあ、街宣をすれば、折れるでしょう」と、社長自宅前をはじめとする各所で「不当解雇」また事実無根あるいは不明な事項を挙げ、街宣活動を開始。
●しかし会社は毅然と、ユニオンそして組合員を損害賠償で東京地裁に提訴した。
●去る11月25日に被告組合員の証人審問が行われたが、なんとユニオン側は誰も傍聴せず。組合員だけがたった一人で証言台に立ち、2時間も徹底的に尋問された。
このユニオンは某引越社との事案で「ガイアの夜明け」に採り上げられ名を上げたが、「合法的な嫌がらせ」と称し精力的に街宣活動をしては、他にも損害賠償で提訴されているという事である。
新世紀ユニオンが労働者を守るため真面目に教宣する一方で、迷惑な存在である。こういう手合いが居るため、ユニオンの社会的イメージまた加入率が低下する。
さらにまた事実に基づく争議宣伝(=正当な組合活動)も、提訴すれば屈服すると考えたような使用者によるスラップ訴訟を新世紀ユニオンが起こされ手を煩わされる事態になるのであろう。
憲法28条そして労組法の趣旨を学び直し、自戒してもらいたい。