私は阪神間で働いている郵便労働者です。今年のJP労組の春闘で会社側が提案した「勤続3年を超えた時点で、スキル評価がB以上の者について無期雇用に転換する一方、スキル評価がCの者について有期雇用契約の更新を行わない」との妥結内容が含まれています。
この妥結内容は、非正規労働者の手当支給の郵便会社を訴えた裁判が多発した件で、郵便会社は正規雇用の手当を廃止することで差別をなくするという、およそ考えられない対応をしました。今後は非正規労働者が差別撤廃の裁判など起こせないように、「スキル評価」で黙らせようとの汚い企みが見えてきます。
しかも「スキル評価がB以上の者について無期雇用に転換する」という事は有期雇用契約の3年間が、事実上の試用期間となります。ご存じのように最高裁で「試用期間は適度の長さ(一般的に約3か月)でなければならない」との判例があります。
しかも郵便会社の評価はこれまでの査定を見ても恣意的になるのは明らかです。ゆえに私はこの「非正規3年」の試用期間は完全な違法な妥結内容だと考えています。
今大学や研究機関で任期制を口実にした5年あるいは10年での雇止めが社会問題となっています。この任期制を試用期間と考える雇用主も増えています。
期間雇用とは試用期間ではなく、期間を限った仕事などでの短期雇用であるべきで、常用雇用の労働者を長期の試用期間で安上がりに働かせる非正規3年の「スキル評価」で期限の定めのない雇用にするというのは明らかに違法だと思います。
しかし残念なことに日本では、違法な内容でも労使が合意すれば違法ではなくなります。JP労組本部は「本件について第15回定期全国大会議案として提起し承認を求めることとする。」としています。
したがって非正規への「スキル評価」と「非正規3年」の妥結内容は、全国大会で是非とも否決しなければならないと考えています。JP労組の春闘でこのような反動的な妥結が行われたことは全郵便労働者への裏切りであることは明らかです。